女性活躍推進が進められるなかで、女性の健管理に関するリテラシーの向上も求められています。また、女性は家族の介護を抱えるケースも多く、中には自身の健康不安の問題も抱えながらのダブルケアのケースもあります。これらのケアを皆様に知って頂くべく、今回の研究会は、株式会社ベネッセコーポレーション 産業保健師 姫野久美氏を迎え、弊社の社会福祉士・キャリアコンサルタント 井木みな恵とダブル講師で、「女性の健康と仕事と介護の両立」について考えるテーマで開催いたしました。
女性は、女性ホルモンとメンタルヘルスが密接にかかわっています。女性のメンタルトラブルは人生の節目に多いといわれています。長時間労働の女性も増えていますが、女性は男性と比べ体力的に不利でありホルモンバランスの影響もあるので健康管理が大切であり、セルフケア、ラインケア、外部の専門職によるケア、事業所内の産業保健スタッフによるケアの4つの重要性について説明がありました。
女性ホルモンの仕組みとバランスについて、男性との大きな違いは、月経周期があり、ライフステージにより女性ホルモンの分泌量の変動が大きいことがあげられます。
姫野氏より各ライフステージで起こる体調の変化と、女性を取り巻く社会環境の変化に触れながら、新たな課題を解説。また、更年期に関する情報収集不足や、「更年期」は隠しておくものという社会通念があることや、男性優位社会により更年期の体調不良を言い出しにくい状況があることなど、企業の支援が必要な状況についても説明されました。
そのほか、男性の更年期障害や、不妊治療と仕事との両立について、がん治療と仕事との両立について様々なケースでの両立について考えるきっかけを作りました。姫野氏からは、「更年期に関して不調を感じたら無理せず受診をすることが大切。また、日常からセルフケアをすることで改善できる可能性もある。」と一人ひとりの健康管理が仕事との両立につながることを伝えました。
第四章からは井木が講師を務め、介護離職をする理由として「自分の心身の健康状態が悪化したため」という回答は女性の方が多いこと、これら介護を抱えた際には、女性は介護と自身の健康の問題の2つを抱えてしまうということ、またそれらが離職に繋がる場合があることを問題提起しました。
ディスカッションタイムでは、参加者より、「女性の部下を持つ管理職への意識づけをどうするか」、「女性の健康セミナー開催時の工夫」(男性社員にも聞いてほしい、テーマや対象者など)等、チャットを通してのご質問、参加者同士での情報交換も積極的に行われました。
最後に、女性は出産や月経、更年期など各ライフステージで健康の課題を抱える可能性があり、両立しにくくなるタイミングがあることを想定し、健康課題を出来る限り予防していくこと、抱えてもうまく付き合いながら仕事と両立していくことについて、参加者の皆さんと一緒に考えることが出来ました。
株式会社ベネッセコーポレーション 産業保健師
看護師として10年程循環器科にて勤務。保健師免許を取得後、電気メーカー・素材メーカー・エンターテインメント企業等で産業保健に携わり、現職。看護師・保健師・第一種衛生管理者、産業カウンセラー。
株式会社ベネッセシニアサポート 社会福祉士・キャリアコンサルタント