今回のWork & Care研究会では、立命館大学産業社会学部・教授の津止正敏氏をお招きして、男性介護者の実態を学び、企業ができる支援の在り方を考えました。
第一部では、まず「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」の事務局長でもある津止氏から、このネットワーク立ち上げの経緯に絡めながら、男性介護者特有の現状と課題について60分の講演をいただきました。属性的な「男らしさ」という社会規範から、辛さをじっとこらえてしまい、SOSを発することができず、不幸な介護事件につながることもあるという現実をリアルに解説していただきました。男性介護者が今や3人に1人になり、介護者の半数以上は働いていること、この実態を踏まえ、「介護する人が孤立化しない支援」をどう具体化していけるかという問題提起がありました。
また、つらい介護の中でも、ふとした時に訪れる「喜びを感じる瞬間」があること、その「介護感情の両価性」についても指摘があり、大変さだけをクローズアップしがちな介護を、新しい介護のカタチとしてみることもできるのではないか、とのお話もありました。
第二部では介護する人が「孤立しない支援」を企業の中でどのように具現化すればよいのかという文脈で、仕事と介護の両立支援の具体的な事例を含めたお話を津止先生から伺った後、企業担当者同士で活発な議論が行われました。 自社の事例や介護を経験された方からの自身の経験談などを含めて意見交換する中で、「ひとりではない」「つらいことばかりでもない」ということを実感できる「場」の重要性を確認し合い、実際に企業はどんな形で「場づくり」が提供できるかと言う点を深めていきました。
立命館大学産業社会学部 教授
「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」事務局長