研究会レポート2022年3月開催①:仕事と育児の両立
~個人と組織が考えるキャリアデザイン~
RESEARCH SOCIETY REPORT

今回の研究会では、特定非営利活動法人 Arrow Arrow 代表理事 海野千尋氏をお迎えして、仕事と育児の両立の現状を知ると同時に、企業における支援のあり方を考える会となりました。

タイムスケジュール
  1. オープニングー団体紹介
  2. 【講義】
    ①「両立支援」の現在地
    ②子育てと「働く」ー両立支援の現場はどんなことが起こっているか
    ③組織と個人が共に考えるキャリアのために
  3. 【ディスカッション】

講義では仕事と育児の「両立支援」が求められてきた背景、社会が抱える課題、両立支援の現場ではどのようなことが起きているのか、そして会社という組織とその中で働く人々が共にキャリアを考えるために必要なことを海野氏からご講演いただきました。

日本の企業における労働力の確保とジェンダーギャップの改善は喫緊の課題です。

これら課題の解決に向けて、並行しながら女性活躍推進が進められています。一方で、育児が母親一人に偏る「孤育て」の問題や、男性の育休取得希望者8割に対し、実際取得している人が1割である現状についての説明があり、まだまだ課題解決するための「両立支援」は道半ばであり、従業員と組織に対し、包括的な支援が必要であるということの説明がありました。

男性の育休に関する法改正にも触れ、男性の育休取得が進むことで、女性と同じ課題に直面する(組織の中の中堅・中間管理職が一定期間組織から離れることになる)と指摘し、多様な働き方を支援し組織全体が変わっていく必要があると呼びかけました。

二章では両立支援の現場はどんなことが起こっているかについて、①組織で両立支援対象者が初めて現れた場合、②組織で両立支援対象者が増えてきた場合、③組織で両立支援対象者が年々一定数いる場合、それぞれのケースでの支援の方法について紹介がありました。

上司と当事者との面談の持ち方やヒアリング、復職へのマニュアル作り、経営層への働きかけなど具体的な支援について詳しく解説があり、参加者からも「自社と照らし合わせてみて、参考になった」という声がありました。

三章では「組織と個人がともに考えるキャリアのために」と題し、実際に「女性管理職を増やす」ことを目指している企業の様々な支援事例についてご紹介頂きました。

最後に、海野氏は両立支援は「福利厚生」ではなく「経営戦略」であり「組織開発」であるということを力強く伝えました。その後のディスカッションタイムでは、参加者の様々な質問に対し、海野氏から丁寧なアドバイスを行い、各社の課題や方向性のことなど、チャットによる意見交換も活発に行われました。

海野 千尋氏

海野 千尋氏

特定非営利活動法人 Arrow Arrow 代表理事

大学卒業後広告代理店にてプランニング・ディレクション・ライティング・営業に従事、その後ITベンチャー企業にてwebディレクターとしてディレクション・情報設計に関わる。3.11を経てソーシャルセクターへシフト。自分の課題でもあった働き方の選択肢を作るNPO法人ArrowArrowに2013年ジョイン。
子育てなどのライフイベントと「働く」の両立支援事業として、働き方における企業への伴走支援や女性・男性のキャリアデザイン研修を実施、企業の「働き方」の研究として中小企業ワークスタイル研究会を開始した。また、子育てによって一度離職した女性の働き方支援としてママインターン事業をスタートし、短時間で働きたい女性と中小企業とを繋げる仕組みを実施。自治体との協働事業を通して、市民・企業・地域を通して新しい働き方のプラットフォームづくりを運営。
個人・組織・地域の間に入りライフイベントと「働く」が共存できるような働き方の選択肢をつくるために活動している。

参加された方のご感想

  • 他社様の事例などもお伺いできて、大変有意義な時間でした。分かりやすいご説明をありがとうございました。
  • 前半部分の前提の共有は良かったです。事例やその後のディスカッションは、企業の推進度合い別にセッションがあると良かったです。
  • 育児と仕事の両立について考えなおす機会となりました。